ふんわりとやさしい感じのジャケットが印象的な、藤井風さんの3rdアルバム 『Prema』 が2025年9月5日に配信開始されました。

「Prema」とはサンスクリット語で“神聖なる愛”を意味する言葉。その名の通り、全編英語詞で構成されたこの作品は、グローバルな広がりと普遍的な愛のテーマを同時に感じさせる一枚です。
アルバムの中に、日本語の歌詞の入った冊子も封入されていて、音楽評論家の湯川れい子さんの解説も記されています。そちらも参考になりますが、今回は、DISC 1 に収録された9曲を中心に、今わかる範囲で簡単に考察してみます。
DISC 1(全9曲)
1. Casket Girl
タイトルが「棺桶」や「宝石箱」の意味を併せ持つことから、相反するイメージの重なりが心に響きます 。悲しみと輝きを同時に抱える人物像を、感情の深層で描いているのかもしれません。
2. I Need U Back
ストレートな想い、「君が戻ってきてほしい」というタイトルが示す通り、切実な愛情をストレートに表現しているようです。
3. Hachikō
忠犬ハチ公をモチーフにした一曲で、6月13日に先行リリースされました 。忠誠心や待ち続ける想いを英語で語ることで、日本的な情景に新たな普遍性をもたらしているように感じます。
4. Love Like This
本作の2ndリードとして8月1日にリリースされたこの曲は、映画的な世界観と、ヨーロッパを舞台にしたMVが印象的です 。どんな「こんな風な愛」が描かれているのか、情景描写の豊かさに期待が膨らみます。
5. Prema
アルバムの表題曲。“神聖なる愛”という大きなテーマを真正面から描いた壮大な楽曲。聴きながら、誰かと繋がっている感覚や癒しが広がる曲です。
6. It Ain’t Over
「まだ終わっていない」という強いメッセージを含むタイトル。諦めずに希望をつなぎとめようとする感情が込められているように響きます。
7. You
シンプルながら奥深いタイトル。「あなた」という存在をまっすぐに見つめるような、普遍的で温かい一曲です。
8. Okay, Goodbye
別れを受け止めながらも、どこか穏やかさを感じるタイトル。切なさと冷静さの入り混じった複雑な心情が映し出されます。
9. Forever Young
「永遠の若さ」という言葉は、時間を超えた精神性や希望を指しているのかもしれません。ラストを飾るにふさわしい、人生の輝きを祝福するような楽曲です。
DISC 2『Pre: Prema』(初回限定盤ボーナス)
ボーナスディスクには既発曲や未発表曲が収録されています。
- grace
- Feelinʼ Go(o)d
- Workinʼ Hard
- It’s Alright(未発表曲)
- 花(ドラマ主題歌。「内なる花を信じる」力強いメッセージが印象的)
- 満ちてゆく(映画主題歌。感情が満ち溢れる情景を描いた美しいバラード)
- 真っ白
英語アルバムと日本語詞の楽曲が響き合い、風さんの音楽の幅広さや奥行きをさらに感じられる構成になっています。
It’s Alright
「Pre:Prema」の中で唯一の未発表曲。「和」の演歌のような入りですが、次第に洋楽っぽくなり、藤井風さんらしい独特な音楽です。内容は、母性や太陽のようなあたたかさに抱かれて、「大丈夫だよ」と優しく囁かれているような安らぎをくれる一曲です。
まとめ
藤井風さんの『Prema』は、初の全編英語詞という挑戦に満ちた作品でありながら、根底にあるのはやはり「愛」や「思いやり」。静けさと大胆さ、切なさと希望が同居し、言語を越えて心に響いてきます。
正直すべて英語の歌詞という風さんの挑戦、どんなアルバムになるのだろうとドキドキ待っていました。歌詞の和訳を見ながら何度かリピートして聴いてみて、どの曲も飽きがこない、カッコよく素敵な曲だと感じました。
これから歌詞やメロディをもっと深く味わいながら、自分自身の体験や感情と重ねて聴いていきたい一枚です。
コメント